さて 10月1日の空中分列式の様子は前回にならって図式化したが、今回はスモークの色順も入れた豪華版?を作ってみた。参加165機と言う規模は2015年閲兵式より少ない。最初の赤旗3旗で、国旗より党旗が先に出てくるところが党が国を優先すると言う某国軍の性格をよく表してるところ。

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2009年の閲兵式で某国空軍に多少興味を持って撮影を始めて以来10年が経過した。時の流れは何とも早いものである。建国記念日に首都で閲兵式が行われるのは本来10年単位なのであるが、近平君がな何だかんだと理由を付けて2年半毎に閲兵式をやるもんだから、またか!・・と言う感じになってしまった。それでも2019年の閲兵式については建国70周年の節目であり、某国政府も相当力を入れるはず。私も通常なら張り切って閲兵式の半年前あたりから訓練飛行を撮りに行っていたはずだった。

しかし 4年前の南朝鮮のクネクネを招待して行った「2015年何とか戦勝記念」の閲兵式の時に、遠征の繰返しで気力を使い果たした私は、前回の閲兵式から2年半しか経過していないし、目新しい機体の展示飛行も少いだろうと踏んでいたのが一つ。それと 某国生活もあと数年、齢とともに危険を冒して迄虎穴に行く気力が失せ、2019年の撮影行はパスをしようと考えていた。ところが閲兵式を2か月後に控える8月になってもネットやテレビで 訓練風景や装備展示の事前情報が全く出てこない、何処にどんな機体が何機来ているのかも、ネットも含めたマスメディアには、ヒントがひとつ流れていない状況でだった。直近2回の閲兵式までは、ネット情報にマニア撮影の写真も含め各地訓練風景が溢れ テレビでも予行演習の様子が公開されていた。今回は、明らかに政府のコントロールがかかり一切の報道がストップされている。秘密主義は対米摩擦に気を使っているのか、新兵器のデビューのサプライズを狙っているのか・・・

何も情報がないと逆に気になって仕方がない。8月中旬頃やはり様子を見に行こうと意を決して毎週末異なる飛行場を訪問して始めた。現地で人に聞けば「毎日よく飛んでるよ」と言う話が聞こえて来るが、私が行った日は全くフライトに当たらなかった。昔は、土日構わず連日飛行訓練していたのにどう言う訳? 私の住んでいるTJ市のY飛行場は、J-10の新型が来ていて空警2000がエプロンにいるのは見えたが、全く飛んでくれないので何機来ているのさえ分からない。

一方、J-11系の訓練が通例行われている河北省C飛行場は、空警200500が来ているのが見えたが、戦闘機は何がいるのか、ここは掩体壕運用なので全く覗く事も出来ない。某国首都上空で展開された1回限りの予行演習でJ-20が5機飛んだという情報から ここで訓練している可能性が高いが、これまたフライトに当たらないのでわからないまま。また河北省のT飛行場は、爆撃機師団の訓練飛行が行われているはずなので 仕事を作って行ってみたが、その日飛んだのは、吉林省から来たデモフライトチームのK-8教練機のみ 写真も撮れず爆撃機群がいることだけ確認して帰還した。

 8月9月と毎週末遠征して全く収穫なし情報すら獲るものが少ない さすがに「出足が遅れたので、今回は神に見放された」と当初2019年事前訓練を捨てていたことを後悔した。いよいよ9月末には、全く撮れないで終わることを覚悟したのであった。

閲兵式までに残り2週間を切るという頃、いよいよ本番間際なだけに土日だって訓練で飛ぶだろうと再び数か所の飛行場めぐりをしたが 全く飛行訓練に当たらなかった。今回某国空軍 予行訓練において土日しっかり休んでいるだけでなく ウィークディも休みを入れているようなのである。こんな状態だとターゲットを絞らない「虻蜂取らず」になる、そこで的をいくつかの飛行場に絞り、海軍機と陸軍ヘリは捨てることにした。

その中で 河北省TS飛行場へ遠征した日の事である。私自身は、民間飛行場と併設され写真が撮りやすい場所と考えていた飛行場で 私が行ったその日は天気が晴天で飛行日和のはずだったが1機も飛ばなかった。朝からJJ-7(Mi-21 某国版)がエンジンテストしているだけで 他には何の動きもない。以前の撮影ポイントが撮りづらくなっていたので モロコシ畑のどの場所がよいか再度撮影ポイントを入念に下見、落花生を収穫している農民さんのご厚意で、地元市民に紛れ収穫後落ちこぼれた落花生ひろいをしながら時間を過ごしただけで終わった。

 結局 89月と落花生以外?何も収穫がなかった私にとって最後のチャンスは、“必ず飛ぶ日”・・つまり閲兵式本番日しか残されていない。Dディにはどのターゲットを狙うか考えた挙句撮影ポイントが比較的安全なTS飛行場を選択したのであった。ここで前回と違うボンバー部隊が撮れれば儲けものだ・・ぐらいの軽い気持ちで。

さて 10/1から10/7までの7連休となる某国の大連休 この7日間は高速道路も無料開放されるので何処に行っても大渋滞を覚悟しないといけない。朝4時に出発し、車を飛ばして2時間は裕にかかるTS飛行場を目指した。

閲兵式は10時ぐらいから行進が始まるので、ボンバーたちは9時半ぐらいには離陸するだろう。6時過ぎに河北省TS市内に入った私、市内で朝飯をゆっくり取って8時半頃離陸ポイントに着く予定で車を進めた。飛行場に近づくと警察が交差点ごとに配置されていた。警備の厳しいこの日は当然予想されたことである。私は、脇道に入り撮影ポイントに急いだが、何とそこは警察車両で溢れ撮影ポイント既に消滅!。そこをやり過ごして、離陸が撮れる隣接の村に向かう農道に入っていくと、今度は畑の小道や農地の区画ごとに警官が立っているではないか。とうもろこし畑は蟻の這い出る隙がないように警官だらけで、不審車両に職質している。「まずい!」撮影どころではないと戦慄が走った私、飛行場エリアからできるだけ速やかに脱出しようと知らない農道をひた走りに逃げた・・・ 気持ちはすっかり落ち込んで「これだけ努力して来て、最後の落ちがこれですか!・・」って感じである。細い農道は舗装もないガタガタ道が延々と続く、GPSを頼り何とか警官のいない市街地に抜けることができ危機を脱した。その場の私は何故か警察に追われている逃亡犯の気分である。土誇りの車を洗車して萎えた気持ちのまま帰路に着くつもりでいた。漸く洗車サービスの店を見つけて一休み、洗車中に店のおばちゃんが「T市から来たの?観光?」

観光だと答えると近場の観光地をいくつも紹介された。洗車の間に次々に離陸していく大きな爆音だけが空しく響く。その時私はふと我に返った・・「俺は何しにこんな遠くまで来たの?少なくとも飛行機の姿ぐらい見てから帰るべきだろう」と思い直し、飛行場から遠く離れた警戒エリア外の場所で閲兵式から帰ってくる飛行機たちを待つことに。どうせ練習機類は小さくて撮れないだろうが、ボンバーは機体番号ぐらい判別できるだろう。身に着いた勘を頼りに着陸コースの延長線で待つことに。車内でラジオの閲兵式の中継音とスマホで閲兵式の生中継を見ながら 彼らの帰りを待った。最初の帰ってきたのは、5機の編隊を組んだL-15最新練習機 閲兵式初参加機なのだが遠すぎてどうにもならない。アプローチのコースを少し読み違えた・・・前に移動しないと。しばらく走って ちょうど隠れ場所にも良いような畑の一角。ここでボンバーを待とう。すると頭の上をK-8教練機の赤腹6機編隊が通過 この位置と高さでバジャーが来ればもしかして証拠写真程度は撮れるかも・・・多少希望が湧いてきた。ボンバーは、閲兵参加が9機だから 前回同様予備3機を含め全部で12機ぐらいは飛んでいるはず。暫くすると予想通りのコースでバジャーが機首をこちらに向けてアプローチしてくる。これは何とか撮れるぞ・・・今までの疲れが吹っ飛ぶ嬉しさである。予想通り3分から5分間隔て次々に着陸、機首に給油装置を付けた新型も交じっており、参加部隊も二個航空団からの混成編隊である。残念ながら給油型バジャーは、別の場所で訓練していたようで此処では撮れなかった。この日は高速道路の検問渋滞を避けるため、夜まで町で観光をして帰宅の途に就いた。

閲兵式終了後某国各マスコミは、解き放たれたように事前の訓練風景やインタビュー記事を報道し始めた。これで分かったのが、J-20やJ-16など新鋭機は全て私が住んでいるTJ市のY飛行場で集中訓練をしていた事だった。これはショックだった・・・なんと地元で新鋭機がバカスカ撮れるはずだったのを逃したのである。また、L-15は昔よく仕事で行った河北省の省都S市にある訓練部隊から来ていたことが判明、赤腹はすべて新鋭機に取替っていた。海軍機は、機首番号と海軍徽章をつけたマーキングになっており、これが今後踏襲されるかが注目点だ。

某国首都で行われた10月1日閲兵式の映像を見ると、フライトする機体の高度は例年より高いように感じた。あの高さでは最初に八一隊が低空に流したスモークの影響をまともに受けて、現地では写真は撮りにくかったはずである。航空ファンにとっては、ますますやりにくい環境になって来ている。

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空軍司令官 丁大将
閲兵式副指令 劉少将

分列式で指揮を執った人々

戦闘機部隊編隊長 張大佐
閲兵式終了後のマスコミで報道された訓練風景の一部 海軍機は、尾翼の機番を消して機首番号に統一、海軍徽章と「中国海軍」の文字入り。これが今後定着するのか注目したい。上写真5枚もChina-NETから。
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